Oxford Bookworms ステージ2 のなかでも、とりわけハートフルで感動的な、ひとりの少年の成長を描く物語。
“The Piano”書籍情報
- タイトル The Piano – With Audio Level 2 Oxford Bookworms Library: 700 Headwords
- 著者 Rosemary Border
- シリーズ Oxford Bookworms
- ステージ2
- 語彙数 700
- 総語数 6,070
“The Piano”感想
Oxford Bookworms ステージ2 の中でも、とくに泣ける物語です。貧しい少年が音楽に目覚め、なんとかしてピアノをひこうと奮闘する姿に、結末は最初の部分で出ているにもかかわらず、どうしても応援したくなります。前半、のどかで平和な農村風景と少年たちの交流が、わりあい長く描かれていて、なかなかピアノが出てきませんが、まったりした雰囲気が、ピアノの出現後、みるみる展開し、ほのぼのとした結末にたどりつくころには、もうウルウル😭きているはず。
Julie Joubinaux のイラストが17葉あり、これがカントリー風で、いい雰囲気です。
気になる表現
3ページ10行目の文、
‘So this is Lady Evans,’ I thought. ‘What a nice face she has! She looks like a farmer’s wife.’
レディがまるで農家の嫁みたいだ、という前後の描写からすれば、”What a nice face she has!” は、ほめ言葉ではなく、逆の意味でしょうね?。実際、最後のイラストに出てくる奥さんの顔は、たしかに田舎くさいヘアスタイルに描かれていますね。
“The Piano”あらすじ
Anthony Evans は著名なピアニスト。彼の80歳の誕生コンサートが始まる少し前に Sally Hill という The Sunday Times の記者が取材におとずれ、偉大なピアニストに「あなたの家族は、音楽一家だったんですか? モーツァルトみたいに3歳からピアノをはじめたんでしょうか?」と質問を投げかけます。それに対して、ピアニストはほほえみながら「いや、家族で音楽家は自分だけで、14歳までピアノに触ったこともない」と答えます。
そして老ピアニストは、コンサートまでちょっと時間があるから、昔の話でもしようかと、語り始めるのでした。
「私は13歳で学校を卒業したが、あの頃はみんなに Tony と呼ばれていたなあ。農場で働いていたんだよ…」