Sense and Sensibility「分別と多感」Oxford bookworms

19世紀英文学、最高の果実 “Sense and Sensibility”「分別と多感」のリトールド版。傑作!

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情報感想読みどころ

“Sense and Sensibility”書籍情報

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“Sense and Sensibility”感想

19世紀イギリス文学の至宝、オースティンの傑作”Sense and Sensibility” リトールド版です。”Pride and Prejudice”「高慢と偏見」はレベル6ですが、こちらはレベル5です。しかし、話法に関してはむしろ複雑かもしれません。難易度はそれほど変わらないように思えます。

挿絵の代わりに、映画「いつか晴れた日に」のスクリーンショットが掲載されています。

登場人物が非常に多く、人間関係も複雑なので、最初に掲載されている “People in this story” を見直しながら読んでいくことになると思います。先に映画「いつか晴れた日に [DVD]」を見ておくとよいかもしれませんが、始まりの部分などが映画とはかなり違いますので、かえってわかりにくくなるかもしれません。Wikipediaなどであらすじを読むと、ネタバレしてしまうので、おすすめはできません。なんとかがんばって、85ページのクライマックスまで読み進めてほしいですね。

全体のトーンは「高慢と偏見」よりも少し暗めで、悲しみに押しつぶされそうになる部分もあります。でも、それを我慢して最後まで読み通してみて下さい。固まってびくともしないスパークリングワインのコルク栓が、最後の最後でパンと抜けるような結末が待っています。

“Sense and Sensibility”読みどころ

若干のネタバレありなので、注意!

状況

ダッシュウッド家の当主、ヘンリー・ダッシュウッドには、最初の妻との間に息子ジョン、二度目の妻との間に3人の娘、エレノア・マリアンヌ・マーガレットがいた。ヘンリーが死んだ後、財産の大部分はジョンのものとなった。ジョンの妻ファニーは、ダッシュウッドの館に乗り込んできて、女主人として振る舞う。ヘンリーの未亡人はその態度に我慢がならず、すぐにも出て行こうと言うが、長女エレノアがなんとか、なだめている。そこにファニーの弟エドワードが訪れ、エレノアとエドワードは惹かれ合う。ファニーはこれに腹を立て、エレノアたちは、デヴォンシャーの親類、ミドルトンのコテージに引っ越すことになり、エレノアとエドワードは、引き裂かれる。

デヴォンシャーに来てから、エドワードの音信は途絶え、エレノアや家族は不安をつのらせている。ある日、ミドルトンの義理の母の親類が訪ねてくる。その中の若い女性、ルーシー・スティールは、エレノアに対し、ファニーの母を知っているかと訊く。いきなりの質問にとまどうエレノアに、ルーシーはエドワードと秘密で婚約していると打ち明ける。愕然とするエレノアに対し、ひとしきり、あざといのろけ話を語ったルーシーが去り、エレノアはひとり残される。

She felt sure that Edward’s affection was still hers. He certainly loved her, and had never intentionally deceived her. Unfortunately, he was now tied by an early and foolish engagement to a pretty, but insincere, vulgar and selfish girl, whose main interest lay in his future income.
彼女はエドワードが今も自分を思っていることを直感で知っていた。「彼は絶対に私を愛している。それに、エドワードは他に好きな女性がいて、私に気のあるふりをするような人じゃない。可哀想なエドワード。若いころの馬鹿な婚約に縛られているなんて。しかも、相手は、見た目はよくても、将来の財産にしか興味のない、不誠実で無教養の自分勝手な女」

2文目から、直接話法にしてみましたが、最初の She felt … から、「エドワードが好きなのはいまでも絶対に私だわ」というように直接話法的に読むのもアリでしょう。

ルーシーはその後、数日間滞在し、その間エレノアとエドワードの話をします。最後の一文は、こう読まないとエレノアの気持ちが伝わらないはず。

She learnt that Lucy was determined to hold Edward to the engagement, and that Lucy was jealous of her because Edward, apparently, always spoke of her with great admiration. Indeed, what other reason could Lucy have for telling Elinor her secret, if not to warn her to keep away from Edward?
エレノアはルーシーがエドワードを婚約でかんじがらめにする覚悟を決めていると知った。そして、エドワードが、なにかにつけてエレノアを褒めちぎることに対する嫉妬を感じとった。「そうよ。ルーシーが私に秘密をあかす理由がほかにある?エドワードに近づくなと釘を刺す以外に?」

人間のさまざまな感情が、あるときは寄り添い、別のときは激しい摩擦を起こす。社交・恋愛・金・情熱・欲望、色々な人間の思惑が複雑に絡み合い、怒濤のクライマックスへとつながる、Oxford bookworms 屈指の傑作!読んで損はないはずです。

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