ケンブリッジ・イングリッシュ・リーダーズ シリーズ中、強烈な読後感のある問題作。
「Jojo’s Story」書籍情報
- タイトル Jojo’s Story Level 2 (Cambridge English Readers)
- 著者 Antoniette Moses
- シリーズ Cambridge English Readers
- 2 Elementary/Lower-intermediate – CEF A2
- 語彙数 800
- 総語数 9,125
「Jojo’s Story」感想
Jojo という10歳の少年の視点から見る世界が一人称で描かれます。少年らしさを表現するために、あえて語彙を減らして書いた大人の小説という感じがあります。現実と死後の世界が交錯する描写には、思わずぞっとするときがありました。Jojo は、最初は主に祖母や母親の言ったことを思い出しています。しかし、物語のなかばで、突然、母親の無知を語ります。
And my mother was wrong. I thought that she knew all the answers, but she didn’t.
母親の考えは正しくなかった。母親が何でも知っていると思っていたのは間違いだった、と Jojo は語るのですが、これは母親よりも、母親の言うことを無条件に信じていた自分がいかに子供だったかを責めているように聞こえます。つまり、自分がもっと大人だったら母親は生きていたはずだ、と責任を感じているように読めます。その後、Jojoは父親との会話を思い出し、自分がたずねたことに父が答えなかったのは、子供には言えなかったからだろう、と振り返ります。Jojoは短時間で、ありのままの現実を見つめようとする大人の視点に変わっていきます。しかし、大きな世界情勢までは当然理解できません。今生きている世界の当事者は他の誰でもない自分、Jojo なのだと自覚するまでを描く、重い物語です。
「Jojo’s Story」あらすじ
また暗くなった。3回目の夜。いや4回目。火曜 … 水曜 … 木曜、そうだ木曜日だよ。なぜ曜日をかぞえるんだ?なぜ木曜日だなんて言ったんだろう?もう日はなくなったのに。時間が流れるだけだ。暗い時間、明るい時間、それだけだ。
このような暗いモノローグから、ストーリーが始まります。国連平和維持軍など、簡単な社会的知識が必要とされる部分もあります。