“Anne of Green Gables”のリトールド版。Penguin Readers Level2 です。
“Anne of Green Gables”書籍情報
- タイトル *ANNE OF GREEN GABLES PGRN2 (Penguin Readers (Graded Readers))
- 著者 L. M. Montgomery
- シリーズ Penguin Readers
- Level 2
- 語彙数 600
- 総語数 おそらく 7,000 前後
“Anne of Green Gables”感想
カナダの女性作家、L.M.モンゴメリの有名な Anne of Green Gables のリトールド版。リトールド版は Oxford Bookworms Stage 2 Anne of Green Gables: Stage 2 700 Headwords (Oxford Bookworms Library) もありますが、Penguin Readers の方が面白いと思います。理由は、Oxford Bookworms のリトールドに以下のような点があるからです。(ネタバレ注意)
- 冒頭、ミセス・リンドがマシューを見かけて、何事かとマリラのところに行って、「女の子を養子にして放火された事件がある」と忠告し、マリラが「男の子だから心配ない」というシーンがない。
- マリラは、アンを孤児院に戻そうとするが、冷酷なミセス・ブリュエットがアンを引き取って、こき使おうとするのを見て、土壇場で気を変えるシーンがカットされている。
- ギルバートの頭を叩くのが石版でなく本になっている。
- ケーキに入れようとしたのがヴァニラでなくミルクになっている。
- 帽子に花を飾り付けて笑われるシーンがない。
- ブローチがなくなるシーンがない。
- 屋根に上ろうとして落ちるシーンがない。
- ダイアナにワインを飲ませてしまうシーンがない。
- ミニー・メイを介抱するシーンがない。
- 船に乗る理由が「エレインになる」ため、ではなく「囚人が脱走する」ふりをするため。
上のような変更は、字数や予備知識なしに理解しやすいことを考慮した結果でしょう。読者の想定年齢が違うのかもしれません。
一方、Penguin Readers には、Oxford Bookworms にある、次のようなシーンがカットされています。
- ミセス・リンドに謝る際、ひざまずいて、大げさな謝罪を言う表現。
- アンをクイーン校に送り出すとき、ドレスを着たアンを見て、ふだん感情をあまり出さないマリラが思わず涙ぐむシーン。
- マシューが銀行の破産の手紙を見て倒れるシーン。
- マリラがギルバートの父との関係について、さりげなく話すシーン。
うーん。こうして書き上げてみると、けっこう重要なところがカットされています。全体的に後半が駆け足になっていますね。最初を詳しく書きすぎて、字数が足らなくなったのでしょうか。
挿絵
挿絵は、Oxford bookworms の方が上手です。Penguin Readers は、プロの絵?というほどぎごちないですね。ところが、カラーという利点があります。緑の髪のシーンがあるので、カラーはいいですね。
Oxford Bookworms の挿絵のほうが幼く描かれています。Penguin Readers のほうは、後半はもう完全な大人の女性になっていますね。
味わいどころ
原作を読んだ方なら、あのシーンもこのシーンもカットされていると思うでしょう。魅力的なマシンガントークもほんの少しですしね。色々なものに勝手に名前をつけて空想にふける、というシーンもなかなかリトールドに入れるのは難しいと思います。
それでも、この語彙数でよく表現できているなと思うできばえですので、一度どんな話か英語で読んでみたい方にはおすすめです。
“Anne of Green Gables”あらすじ
あごひげをたくわえた寡黙な男、マシュー・ガスバートは、村はずれにあるグリーン・ゲーブルに妹のマリラと暮らしている。60歳になったマシューは、農作業の手伝いのために男の子の養子をもらう手配をしており、駅に馬車で迎えに行く。しかし、そこにいたのは11歳の少女アン・シャーリーだった。
置き去りにするわけにもいかず馬車に乗せて帰る途中、話が苦手なマシューは押し黙っているが、アンは一方的に話を始める。見慣れた風景を夢のように語るアンの話を聞いているうち、女の子が大の苦手だったはずのマシューの心に、アンを手放したくない気持が芽生える。しかし、連れて帰ったアンを見たマリラは「男の子はどこ?」と尋ね、アンは自分が必要とされていないと知って泣き崩れる。
マシューの気配から、アンにほだされていることを察したマリラは、次の日みずからアンを馬車に乗せて養子縁組を頼んだスペンサー夫人を訪ねる。