CATEGORY 深読みシャーロック・ホームズ

「バスカヴィル家の犬」いったい「彼」とは誰?

ローラ・ライオンズ完落ち ローラ・ライオンズ夫人は、ついに自分が騙されていたことを知り、何もかもホームズにぶちまけようと決意します。 彼女は「彼」が、サー・チャールズに面会したいという手紙を書くようにうながしたこと、サー…

「バスカヴィル家の犬」美しい花にはトゲがある

「バスカヴィル家の犬」には、美しいと言われる女性が二人登場しますが、そのひとり、ローラ・ライオンズの顔を形容している部分がじつに興味深いのです。 ライオンズ夫人の紹介 新潮社文庫から、ワトソンがライオンズ夫人と初めて会っ…

震える指で器用に巻く?

「バスカヴィル家の犬」のモーティマー医師は自分で紙煙草を巻く人物で、ものすごく器用に1本の煙草を巻き上げます。そのようすをさらに詳しく説明したのが次の文です。 細くて長いその指はたえずうち震え、まるで昆虫の触角のように敏…

ホームズの模範解答、たっぷり楽しみましょう。

「バスカヴィル家の犬」の冒頭で、ワトソンに推理をさせ、それを修正する形で、ホームズ教授が模範解答を披露するシーンがあります。ここは、長編で最初の見せ場ですから、読者が「なるほど!」と膝を打ちたくなる、クリーンな推理をする…

バスカヴィル館、窓は二階か三階か

「バスカヴィル家の犬」で、深夜に怪しい行動をする執事のバリモアの後をつけ、屋敷の窓に燭台をかざしていたバリモアをヘンリー・バスカヴィルが問い詰めると、バリモアは窓の戸締まりを確認していた、と答えます。それに対するヘンリー…

叙事詩的作品「唇のねじれた男」

シャーロック・ホームズ短編のなかで異色作と呼べるのが、”The Man with the Twisted Lip”「唇のねじれた男」です。 「イン・メディアス・レス」核心から この作品の特徴は、全…

head が「頭」じゃないなんて、頭にくる話

head は「頭」、小学生でも知っているはずですが、意外に手強い単語です。おそらく中高生用と思われるアクセスアンカー英和辞典 第2版を見てみると、こんな記事がありました。 使い分け==head, face, neck =…

シャーロック・ホームズの描出話法

「話法」は試験問題にしやすいせいか、よく受験にも出てきますね。直接話法と間接話法の変換など、じつに機械的で退屈な学習なのですが、実際に英文を読むとき、話法を知らないと意味がとれない文章はよくでてくるので、学習方法はともか…

モーティマー先生、何しに船会社へ?

「バスカヴィル家の犬」でホームズとワトソンが置き忘れのステッキについて推理をしていたとき、その持ち主がたずねてきます。そして、ホームズが自分のステッキを手にしているのを見て発した第一声がこれです。(最初を少し省略してあり…

バスカヴィル家の犬 ……ハンカチの謎

犬に嗅がせるものとは 「バスカヴィル家の犬」前半の山場はなんと言っても、ヒューゴー・バスカヴィルの伝説部分でしょう。ヒューゴーが誘拐して監禁していた娘は命がけで逃亡、それに気付いたヒューゴーは「悪魔に魂をくれてやる!」と…